言うまでもないが鍋の殆んどは金属製だ。鉄・ステンレス・アルミ・アルマイト・銅・その他や合金だったりするが、とにかく鍋と云えば金属だ。それが冬の夜に食卓で囲む鍋料理用の土鍋ではなく、キッチンで使う日常使いの鍋ならば、尚のこと金属ということになる。それは使用頻度が高く、それだけに様々な状況で使用されることに対する当然の帰結だろう。
けれども歴史をひも解いてみれば土鍋の起源はそもそも金属の発生以前に溯ってしまう。地球上に土器が発生したのは約1万6000年前と云われており、しかもその始まりは土鍋だったという説もある。そして時を経て、銅・青銅・鉄等の金属が使用されるようになると、適材適所の当然の帰結として鍋は金属で作られるようになり、それはそのまま現在へと続いている。
食卓での鍋料理に使われる土鍋は、そんな歴史の中で生き残ってきた土鍋の“最後の砦”と云ってもいいのかもしれない。これだけの時を経て文明が進化し、高品質な金属製の鍋が多く出回っている現在であるにもかかわらず、そこで土鍋は使われ続けている。あらためて考えてみると、この事実に驚きを禁じ得ない。
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