「耐熱」とオーブンと直火

 土鍋について少し書こうと思っていただけなのに思わず饒舌になり、大きく遠回りしてしまっている。話を戻してここからは調理における土鍋の基本的な特質について書いてみたい。

 「耐熱」或いは「耐熱性」という言葉については既に書いたが、この言葉は日常の中で曖昧に使われているように感じる。 「耐熱」は、もちろん土鍋に対しても使い得る言葉だ。先述したが、「耐熱」或いは「耐熱性」という言葉は、高い温度に耐えるという意味と、急激な温度変化に耐えるという意味の二通りに使われる。

 例えば「ココット」や「ココット皿」と呼ばれている小さな器を「耐熱容器」と認識されている方もいるだろう。それはそうなのだけれども、「耐熱」だから、と「ココット皿」を直火にかけてはいないだろうか。結果は、ひび割れてしまうことが多い。この「ココット皿」は、一般的にはオーブン対応とされている器だ。「オーブン可」=「耐熱容器」=「直火可」と連想してしまうことが起こり得る。
(※ 少し調べてみたところ、「鍋」またはこれを使った料理のことをフランス語で「ココット」と云うらしく、日本では違う意味で使われることも多いようだ。)

 ここで、「ココット皿」について使われている「耐熱」は、高い温度に耐えるという意味での「耐熱」だが、そもセラミックス(陶磁器)はその意味での「耐熱性」を基本的な性質として備えている。だからここで「ココット皿」について言えば、それは、「耐熱性」は備えているけれども、「耐熱衝撃性」はあまり備えていないということになる。

 「オーブン加熱」と「直火加熱」は全くの別物だ。オーブンに入れた容器は周囲から全体的に加熱される。つまりオーブン加熱では、容器の各部分に温度差が出来にくい。先述したようにセラミックスは、加熱による温度差ができなければ熱膨張差による応力の歪みも発生しにくく、破損も起こりにくい。しかもオーブン内の温度は通常150℃~250℃程だろう。だからオーブンで使うことだけを前提にして作られている器には、土鍋に必要とされる程の耐熱衝撃性は必要ない。

 一方、直火では高温のガスコンロの炎が鍋底裏に直接あたり、しかも鍋底裏だけが部分的に加熱されることになる。だから直火対応ではない「ココット皿」を直火加熱すれば、それは破損する可能性が高い。対して、直火対応の容器(土鍋)をオーブンで加熱しても、もちろん問題は起こらない。

 直火で使えるか否かは、その製品の説明書に明記されているはずだ。このことは理解されている方も多いとは思うが、勘違いして大切な器を割ってしまわないように気をつけていただきたい。