鍋の制作

(2014/11/23)


 
 片手土鍋の制作を、先日から始めている。始めているとは言っても、まだ土作りの段階だ。今回は、原料の一部を見直して、素地の性質を向上させることが出来た。写真は、素地の”焼き下がり”テストピース2点。上が新しい素地で、下が現行の素地のものだ。焼き下がりは、明らかに上の方が少ない。焼き下がりというのは、別の言い方をすれば、素地の”ヘタリ”ということだ。”焼き腰”という言い方もある。テストピースの両端を、支えの上に、橋を架けるような形にセットして、既定のプロセスで焼成する。素地は高温時に焼結し、更に熱が加わり続ければ、その過程で徐々に撓み、やがては溶解する。

 仮に、素地の性質を変えるとすれば、原料の組成を変えることになり、焼成プロセスも変化する可能性が大きい。焼成プロセスを変えることになれば、焼成温度や、投入熱量が変わってしまう訳だから、釉を変えなければならなくなる可能性がある。場合によっては、製品の形状も変える必要が出てくるかもしれない。そうなれば、型も作り直すことになるし、極端な場合は、製造プロセスを初めから構築する必要に迫られることも起こり得る。

 焼き下がりは、焼成時の形の保持力に関わる事なので、それは少ない方がいい。それが多ければ、焼成中に変形しやすいということになるから、変形を防ぐために、いろいろな策を講じる必要がでてくる。これがなかなか厄介なのだ。製品の形状も素地も釉も決定し、現行の製造プロセスは、ほぼ完結している。前にも書いたが、製造プロセスは、製造の全体として成立しているのだから、一部分だけを変えることはむずかしい。けれども、プロセスの全てに満足しているわけではないので、いろいろな制約の中で、最低限の変更で済むような改良の術を探ってきた。だから今回は、飽くまでも現行の焼成プロセスの中で、素地の性質を向上させることが目標だった。

 幸い、他の性質を殆んど変えることなく、焼き下がりを減らすことができた。こうして文章にすると数行のことだが、この改良に関しても、それなりの時間をかけてきた。まだ、満足はしていないが、これから、改良素地での実物の試作にかかる。