この4月13日の夜から14日の朝にかけて、飼育しているニワトリが襲われた。14羽のうちの11羽が持ち去られ、残ったのは3羽のみ。15年以上ニワトリを飼っていて、こういう被害にあったのは初めてだ。私の油断が招いた惨劇で、鳥たちには本当に申し訳ないことをしてしまった。
鶏小屋は小屋と運動場の2区画に分かれていて、小屋そのものは防獣対策がなされていて獣が入り込めないように作ってある。けれども運動場は市販の防獣網で周囲を囲っているだけなので、獣に対して万全とは言い切れない。小屋と運動場との境界壁の下部には、ニワトリが双方を自由に行き来できるように、スプリング蝶番付きの小扉を設置してある。この小扉には手動のロック機構が備わっているので、人がロックを掛ければ、運動場側の網が破られても小屋への外敵の侵入は出来なくなる。この小扉は通常は24時間「開」の状態で、鷹などの猛禽類が周囲に観察された時や何らかの気になることが起こった時に、ロックを掛けていた。ただ私の中にそこが弱点だという認識はあった。だから小扉を「開」にしている時は常に安心しきっていない自分を感じてもいた。けれども何も起こらなかったことで慣れてしまい、危険な予兆があったにもかかわらず、それを読み違えてしまった。
この1週間から10日ほど前だったと思うが、小屋の側面下部に、動物が掘ったと思われる跡を発見した。この跡は深さ10㎝ほどまで掘られていた。そしてこの後、5日ほど小扉をロックして様子を見ていた。そして変化が無かったため再びロックを外したのだった。
侵入口は運動場側で動物侵入防止用ネットが破られていた。鳥の羽が散乱し、1羽の死骸も残っていなかった。犬や猫の仕業ならば11羽がすべて持ち去られる可能性は少ないことから、当初は人間による窃盗かとも疑ったが、事件の翌日、早朝に散歩をしていた何人かに聞きこみを行なったところ、意外な動物の名前が挙がった。それは「キツネ」。少し前から複数の狐が目撃されていた。「ちょっと前まであっちの藪に5匹で住み着いてた」、「2日前にも線路を渡っているのを見た」、「あっちの田んぼの向こうで見た」など、皆さん良くご存知だった。
午後、斜向かいの畑で作業中だったお2人さんに今回の件を話したところ、あそこにニワトリが1羽埋まっていた、と指さされたのはその畑のほぼ中央付近の場所だった。作業中にニワトリを発見したものの回収できずに困っていたところだったという。見れば私の所で飼っていた「名古屋コーチン」に間違いなかった。
さてそれらの情報をもとにインターネットで足跡の見分け方を調べて現場を再確認したところ、鳥小屋周辺の畑にニワトリの足跡と共にキツネのものと思われる足跡が残っていた。